北欧の建築家やデザイナーが手がけたうつくしい照明作品の数々を紹介した「北欧の灯り」展が、いま新宿パークタワーのギャラリー1にて開催されています(主催:九州産業大学 小泉隆研究室・日本フィンランドデザイン協会・リンビングデザインセンターOZONE)。
今回紹介されているのは、ポール・ヘニングセン、コーア・クリント、ヴィルヘルム・ラウリッツン、アルネ・ヤコブセン、フィン・ユール、ヨーン・ウッソン、ハンス・J・ウェグナー(デンマーク)、グンナール・アスプルンド、エリック・ブリュッグマン(スウェーデン)、そしてアルヴァ・アアルト、ユハ・レイヴィスカ(フィンランド)の計11人の作品。
各作家の紹介のほか、現地で実際に使用されている様子を撮影した写真パネル、そして代表作のいくつかは実物も併せて展示されているので、その器具が実際に光を放ち、「生きている」様子を感じることができるのはありがたいところ。また、ダイニングや書斎、教会など、写真を通じてその器具がどのような目的をもってつくられたのか理解することもできます。
そして、とりわけ面白いのは、代表的な照明器具の断面がどのようになっているのか、それを実物大であらわした模型が展示されている点です。いわば、北欧デザインの照明の解剖図。
北欧デザインの照明器具には、光源(電球)が直接目に入らないよう配慮されたものが少なくありません。ポール・ヘニングセンの有名な「PH5」や「アーティチョーク」などはまさにその典型と言えます。
北欧でそのようなかたちが好まれることについて、東京タワーや東京駅のライトアップでも知られ、1960年代に単身でフィンランドに渡り照明デザインを学んだ経験をもつ石井幹子さんは、冬の長い北欧に生きる人たちは日本人ほどには「強い」光に慣れておらず、極度の明るさには疲れてしまうのではないかと説明します。実際、断面図の模型をつうじてヘニングセンの「PH5」や「アーティチョーク」を見ると、いかに彼が光源からの光をコントロールするのに腐心しているか、まさにあの作品はあのかたちでなければならないのだということが手に取るように分かります。ぜひ、これは実際に会場で見ていただきたいと思います。
さらに、北欧の人たちが蛍光灯を嫌い、間接照明を好む理由について、石井幹子さんはこのように言います。フィンランドのひとは一人で過ごす時間をとても大切にするため、ひとつの部屋の中にも新聞が読めるような十分な明るさをもつ場所と同様、ぼんやり物思いに耽ったりゆったり心を落ち着かせるのにふさわしい程度の明るさをもつ場所を必要とするのだ、と。
北欧の人たちにとって、「光」とは実用一辺倒の昼間の明るさを確保するためのものである以上に、キャンドルやたき火の炎のような心のぜいたく、ごちそうなのではないかとあらためて考えました。
いつか、北欧のさまざまな「光」を訪ね、ただただ愛でるというツアーを企画してみたいですね。夢は広がります。
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ところで、今回は初めての試みとして「遠足」と称しFBページとTwitterを通じて一緒に行ってくださる方を募集、あつまった総勢5人でわいわいと展示を見学し、カフェでお茶を飲みおしゃべりして過ごしました。
初対面にもかかわらず話題が尽きることはなく、話はなぜか北欧から岐阜、そして沖縄へ。結果、それぞれがおすすめする「おいしい沖縄みやげ」というお役立ち情報をゲットしましたので、ここでみなさんにシェアしたいと思います。
- ちんすこうショコラ・・・ちんすこう×ビターなチョコレートの相性が◎
- 天使のはね・・・軽い食感の塩せんべい。定番のおみやげに飽きた人にオススメ。
- ROYCE'石垣島の黒糖チョコレート・・・北海道みやげのイメージが強いが意外な刺客。
また機会があれば、こういう「遠足」企画も楽しいですね。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
石井幹子『フィンランド 白夜の国に光の夢』。ぼくのバイブルのひとつです。フィンランドはもちろん、北欧デザイン、とくに照明について知りたい方は必読。
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